2017年 05月 16日
五月三日に亡くなられたとのご家族の方から丁寧な はがきを頂戴した。 <葬儀、戒名無用 どなたにもおしらせするな 御厄介になった各位に深く感謝の意をお伝えすること> が書き残されていたとの由。 安井さんらしい。 1970年日動画廊で版画グランプリというコンクールが開かれた。 その時の一位が当時23歳の僕で、それで結局、今まで永く画家で 居続ける事が出来たきっかけとなった、とてもありがたい賞だった。 その時の審査で僕を押して下さったのが銅版画家の駒井哲郎さんで、 そして美術評論家の安井収蔵さん、画廊社長の長谷川徳七さん達の 面々であった。 あれから、50年近くずいぶん長い間ごくたまにではあるのだが、 交流を続けて頂いた。とても気さくな方で、ロシアに二十日間程度 だったかな一緒のとても楽しい旅行をしたことがあった。 ずいぶん豪華な旅行だった。 また日展と芸術院の推薦にかかわるもろもろの問題を長く取材し、 連載もされていたので、ひょっとすると日展関係者ほっとしている方が おるやも知れない。 僕の親友の彫刻家だった叔父が電車に飛び込んだ事件の裏話も教えて 頂いた。まさに勲章を金で取引する不思議な世界があり、その中でいそしむ 画家がおり、それを取り成す美術評論家がいるということらしい。 そういった美術界のしがらみとは距離を置いたとても清い性格の方でした。 当方は賞を頂きながらその後の活躍もなく、また銅版画も止めてしまい、 まったくがっかりもさせてしまった事かと思います。 申し訳ありませんでした。でもおかげ様で僕の人生は楽しかったです。 審査員の方々に感謝申し上げます。 享年90歳、ご冥福をお祈りいたします。
by eichi_wata
| 2017-05-16 07:54
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