2015年 01月 08日
重力の虹
<それからというもの<海賊>は<バナナ朝食>で有名になった。
バナナ・アレルギーの者や、紛れもないバナナ嫌いの者まで、それを一目
見ようと英国中から殺到するーーバクテリアの攻略で、土壌が、神のみぞ
その細工を心得る網目模様に連鎖をなし、ついに長さがしばしば一フィート半
にもなるバナナが実る。そう、驚くべきことだが、ほんとうなのだ。>
越川芳明訳<国書刊行会>

<かくしてパイレートは、みずから催す<バナーナ朝食会>で名を馳せる。
会食者はイングランド中からやってきた。中には名うてのバナナ嫌いや
バナナ・アレルギーのものまでいたのは、細菌のポリティックスとかいうものを
観察するため、なにしろ、神のみぞ知る環と鎖の複雑な網目状の蔓延が、
身の丈一フィート半に及ぶバナーナの実を繁茂させた。驚愕の事実である>
佐藤良明訳<新潮社>

意味はほとんど同じなんだが、こんな感じで訳が違うんだ。
どうも、越川芳明訳の方が好きなんだがな、
佐藤良明訳は味気ないけど原文はこっちに近いんだろうか?

やはり比較している方が居りました。

重力の虹の比較
ピンチョン『重力の虹』だが、特に急ぐ理由もないので、
原文・国書刊行会版・新潮社版をゆっくり読み比べていくことにした。
冒頭の段落は二文と短いので、そのまま引用してみる。
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A screaming comes across the sky. It has happened before, but there is nothing to compare it to now.

[国書刊行会]
 キーンという音が大空をよぎる。こうしたことは以前にもあったが、今のに較べたら、まったく問題にならない。
[新潮社]
一筋の叫びが空を裂いて飛んでくる。前にもあった、だが今のは何とも比べようがない。
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by eichi_wata | 2015-01-08 12:20 |


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